中国の為替相場制度は、公式には市場の需給によって人民元相場が決まる「管理変動相場制」です。しかしながら、資本取引は幅広く規制され、中央銀行である中国人民銀行が人民元相場を厳格にコントロールしており、実際には「米ドル・ペッグ制」となっており、ほぼ、1ドル=8.3元に固定されています。最近、世界経済が低迷する中で、中国の輸出が増加する状況を受けて、中国はもはや国際経済に組み込まれているとして、米国・日本をはじめとする各国より、人民元の切り上げ、あるいは変動幅拡大を求める対外圧力が高まってきていますが、中国政府は、当面現状維持の姿勢を表明しております。
人民元の特徴
人民元は対外決済通貨ではありません。対外決済を行う場合は、米ドル、日本円、香港ドル等の外貨を用いることになります。また、中国への持込み・持出しが制限されており、その限度額は6000元です。しかしながら、中国国内における決済は人民元決済が原則とされています。
人民元の外貨への交換
外貨から人民元への交換については、一部に制限はありますが、原則可能と言えます。貿易取引など経常取引においては、実需原則(実需を裏付ける書類を外国為替公認銀行に提出する義務付け)に基づき、人民元の外貨への交換が可能です。貿易外取引の場合、主管機関の認可書類並びにエビデンスを取得すれば、人民元から外貨へ交換できます。ただし、資本取引の場合、幅広い規制があり、事前に外貨管理局より許可を取得する必要があるなど、厳格に管理されています。
銀行口座開設
資本金の振込みを受ける外貨資本口座を開設するには、まずは、営業許可証取得後、印鑑を作成することが必要です。その後、外貨管理局で「外貨登記証」と「外貨IDカード」を申請したうえで、外貨資本金口座の開設を申請します。人民元基本口座および外貨資本口座は原則1口座しか開設できません。人民元基本口座は、現金の引き出しが自由に行えるため、事務所や工場の近くにある銀行に開設すると便利です。人民元口座の場合、開設は比較的簡単です。外貨決済口座開設の場合は、外貨管理局に対し開設理由を明記した申請書を提出し、許可を得たあとに開設が可能となります。
(1) 人民元基本口座:主として現金払い出し、給与支給などに使用します。1口座のみ開設可能。
(2) 外貨資本金口座:資本金振込み口座です。輸出入決済、諸経費支払い等の経常取引に使う口座で、登録資本金の総額により外貨保有残高の上限があります。1口座のみ開設可能。
(3) 人民元決済口座:取引決済用、現金引き出し不可。現金・小切手・振込みによる入金、小切手の振出しや振込みは可能です。複数口座開設可能。
(4) 外貨決済口座:取引決済用、現金引き出し不可。現金・小切手・振込みによる入金、小切手の振出しや振込みは可能です。複数口座開設可能ですが、外貨管理局の許可が必要です。外貨管理局は企業規模と取引額に応じて許可を出します。
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